Japanese
English
シリーズ-感染症 ガイドラインから見た診断と治療のポイント・1【新連載】
成人肺炎
The guidance of Japanese pneumonia guidelines in adults
森永 芳智
1
,
栁原 克紀
1
Yoshitomo MORINAGA
1
,
Katsunori YANAGIHARA
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・診断学
キーワード:
市中肺炎
,
院内肺炎
,
医療・介護関連肺炎
Keyword:
市中肺炎
,
院内肺炎
,
医療・介護関連肺炎
pp.534-542
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103016
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はじめに
これまでの肺炎診療は,病院の外で発症した市中肺炎(community-acquired pneumonia;CAP)と病院の中で発症した院内肺炎(hospital-acquired pneumonia;HAP)の2つに大きく区別していた.背景や治療方針などが大きく異なる2つの肺炎群それぞれに診療ガイドライン1,2)が作成され,診療の質の向上に貢献するとともに,学術的な基盤としても一定の効果をあげてきた.一方で,これらにうまく分類できない肺炎群があることも問題点として指摘されていた.つまり,基礎疾患をもつ患者や入退院を繰り返す高齢者,介護施設入所者などに起こる肺炎が新たな概念として医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-
associated pneumonia;NHCAP)と定義づけされ,2011年8月に診療ガイドライン3)が公表された.わが国の医療状況に照らし合わせてみると,それぞれの肺炎は,主に図1に示すような領域の患者を対象としている.患者状態や耐性菌の関与の側面からも,NHCAPはCAPとHAPの中間的な位置づけであるが,明確に分類できないこともある(図2).
本稿では,各診療ガイドラインの患者背景,診断・治療の考え方などを中心に解説する.
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