HIF-PH阻害薬への期待と懸念
HIF-PH 阻害薬の内服タイミングと注意すべき併用薬
松井 功
1
,
松本 あゆみ
1
,
井上 和則
1
,
猪阪 善隆
1
1 大阪大学大学院医学系研究科腎臓内科学
キーワード:
HIF-PH阻害薬
,
禁忌
,
併用注意
Keyword:
HIF-PH阻害薬
,
禁忌
,
併用注意
pp.443-446
発行日 2023年4月10日
Published Date 2023/4/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002527
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われわれの活動はエネルギー分子であるアデノシン三リン酸(ATP)に支えられている.酸素はミトコンドリアATP産生に関わる一連の電子伝達系反応に必須であり,酸素不足は即ATP不足に繫がる.生体は酸素不足に可及的速やかに反応するために低酸素応答機構を有しており,低酸素誘導因子(hypoxia-inducible factor;HIF)は低酸素時に作用する代表的転写因子である.2019年から本邦にて臨床使用可能となったHIF-PH(HIF-prolyl hydroxylase)阻害薬は,酸素依存性に活性が調整されるHIF-PHを阻害してHIF発現量を増加させる薬剤である.従来,腎性貧血に対してはエリスロポエチン製剤を皮下もしくは静脈内投与していたため,ほかの経口薬剤との併用について特段の注意は必要なかったが,HIF-PH阻害薬は経口薬であるがゆえ,ほかの経口薬剤が同薬剤の吸収などに与える影響を考慮する必要がある.またHIF-PH阻害薬の代謝などに関わる分子が併用薬剤と同一であった場合,薬剤の代謝が遅延し思わぬ副作用が生じることがある.本稿ではHIF-PH阻害薬の併用薬に焦点を絞って注意点などを概説する.なお,以下の情報は2022年12月時点における各薬剤の添付文書より収集した.
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