特集 透析患者の認知症―診断・予防・治療・見合わせ・CKM
12.認知機能低下を有する透析患者の食事・栄養療法
加藤 明彦
1
1浜松医科大学医学部附属病院血液浄化療法部
キーワード:
栄養障害
,
CKD-MBD
,
地中海食
,
L-カルニチン
,
水溶性ビタミンB
Keyword:
栄養障害
,
CKD-MBD
,
地中海食
,
L-カルニチン
,
水溶性ビタミンB
pp.1665-1672
発行日 2022年12月10日
Published Date 2022/12/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002403
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透析患者の認知症・認知機能低下に対する栄養学的な成因として,食事摂取不足による栄養障害に加え,高リン血症,ビタミンD不足,二次性副甲状腺機能亢進症などのCKD-MBDの病態が関与する.地域居住高齢者において認知症予防に最も有用な食事は,果物,野菜,魚介類に加え,ナッツ類,オリーブオイル類,乳製品,豆類,ワインなどを含む「地中海食のような食事」,すなわちplant-based dietsである.和食と比べて食塩が少なく,カリウム,カルシウム,マグネシウム,食物繊維が豊富に含まれる特徴がある.一方,認知症の予防にビタミンB群を含むサプリメントを投与することは推奨されていない.現在,透析患者の認知症・認知機能低下に対するplant-based dietsの有用性は明らかでない.少人数であるものの,ビタミンB類やL-カルニチンの投与によって認知機能低下が改善したことが報告されているが,エビデンスレベルは低い.現実には,認知機能低下はフレイルと密接に関連するため,フレイル予防の食事・栄養療法が認知機能低下の予防にも有用と思われる.
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