症例による透析患者の画像診断
心内血栓による上腕動脈血栓塞栓症でシャント閉塞を認めた1例
大野 和寿
1
,
菅生 太朗
2
,
村上 琢也
1
,
阿久津 博彦
3
,
佐藤 弘隆
4
,
秋元 哲
1
,
齋藤 修
1
,
長田 太助
1
1自治医科大学内科学講座腎臓内科学部門
2ことうだ腎クリニック
3行徳総合病院心臓血管外科
4自治医科大学心臓血管外科
キーワード:
シャント閉塞
,
上腕動脈高位分岐
,
心房細動
,
上腕動脈血栓塞栓症
,
心内血栓
Keyword:
シャント閉塞
,
上腕動脈高位分岐
,
心房細動
,
上腕動脈血栓塞栓症
,
心内血栓
pp.505-509
発行日 2021年5月10日
Published Date 2021/5/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001718
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血液透析患者の内シャント閉塞には,血栓性閉塞と非血栓性閉塞がある.血栓形成の最大の理由は狭窄であるが,ほかに低血圧,脱水,過凝固能,外科的侵襲,穿刺部圧迫,感染なども要因となる.狭窄がすでに存在し,そのうえでこのような二次性要因が加わったときに閉塞が生じやすいとされる.しかし,血栓塞栓症による内シャント閉塞の報告は少ない.一方,上腕動脈は通常橈骨頸部で分岐するが,それより中枢で分岐する変異を5〜30%程度に認め,それを上腕動脈高位分岐という.近年,上腕動脈高位分岐がシャント不全の一因になっている可能性が示唆され,注目されている.今回われわれは,腋窩で高位分岐している上腕動脈の分岐部に血栓が塞栓し,シャント閉塞した1例を経験した.その診断において造影CT検査が有用であったため報告する.
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