ケース・スタディ
嘔吐・下痢と意識障害を呈した急性腎障害の1例
吉川 和寛
1
,
菊池 調
1
,
松浦 佑樹
1
,
野田 晴也
1
,
佐藤 直幸
1
,
田中 文隆
1
,
旭 浩一
1
1岩手医科大学医学部内科学講座腎・高血圧内科分野
キーワード:
メトホルミン関連乳酸アシドーシス
,
正常血糖ケトアシドーシス
,
アシデミア
,
持続的腎代替療法
,
意識障害
Keyword:
メトホルミン関連乳酸アシドーシス
,
正常血糖ケトアシドーシス
,
アシデミア
,
持続的腎代替療法
,
意識障害
pp.293-300
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001655
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症 例:60歳代,男性 主 訴:嘔吐,下痢,意識障害 既往歴:20年以上前から2型糖尿病・高血圧症,20年前に冠動脈バイパス術 家族歴:特記事項なし アレルギー歴:なし 生活歴:喫煙は20本/日×48年,アルコールは摂取せず 現病歴:上記既往があるが,その後通院を自己中断していた.半年前に胸部不快感を自覚したため近医を受診したところ,HbA1c 9%台,血清Cr 1.1 mg/dLと判明し,低用量アスピリン・降圧薬・経口血糖降下薬の内服治療が開始された.1カ月前にはHbA1c 8%まで改善した.この間,血清Cr 1.1〜1.2 mg/dL程度(eGFR 50 mL/min/1.73 m2程度)で推移した.前日から嘔吐・下痢が出現し,近くの救急外来で急性胃腸炎として対症療法され帰宅したが,症状が改善しないため同日夜に再度同外来を受診した.受診時BUN 93.3 mg/dL,Cr 10.1 mg/dL,血液ガスでpH 6.86,pCO2 13 mmHg,HCO3- 2 mmol/L,CTで水腎症は認められなかった.高度の腎不全とアシデミアの精査加療目的に,当科へ転送された.
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