CKD 患者におけるがん化学療法─透析患者を中心に
Ⅱ がん薬物療法の特性 1 透析患者における薬物動態の基礎
平田 純生
1
1熊本大学大学院生命科学研究部・薬学部 臨床薬理学分野
キーワード:
透析患者
,
薬物動態
,
分布容積
,
クリアランス
,
蛋白結合率
Keyword:
透析患者
,
薬物動態
,
分布容積
,
クリアランス
,
蛋白結合率
pp.734-743
発行日 2019年6月20日
Published Date 2019/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000932
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• バイオアベイラビリティ(F)は剤型が変更になるときに有用であり,肝代謝型薬物(とくにCYP3A4 基質薬物)の代謝阻害の強度も予測できる.
• 分布容積(Vd)を利用すれば目標とする血中濃度になる設定をするために必要な投与量が計算できる.Vd が小さいと血中濃度の振れ幅(ピーク濃度とトラフ濃度の差)は大きくなるが,平均血中濃度が変化するわけではない.平均血中濃度はクリアランス(CL)に依存する.Vd が大きい薬物はいかなる血液浄化法によっても除去不可能である.
• CL が小さくなると消失が遅延する.透析患者では腎CL が著明に低下しているため,腎排泄型薬物の消失が遅延し,連続投与によって血中濃度が上昇しやすい.
• 透析患者では活性代謝物が蓄積して腎機能正常者では起こりえない副作用が起こることがある.
• 尿中排泄率が高ければ透析患者での減量は必須であるが,尿中排泄率が低くても透析患者では血中濃度が上昇する薬物の報告が近年,増加しつつある.
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