特集 肝障害時の薬物療法 肝機能を考慮したマネジメントの基礎と実践
肝障害時の薬物動態の考え方
大野 能之
1
1東京大学医学部附属病院 薬剤部
キーワード:
Cytochrome P-450
,
肝硬変
,
肝臓
,
肝臓疾患
,
薬物代謝的不活性化
,
生物学的利用率
,
代謝クリアランス
,
薬物相互作用
,
薬物動態学
,
肝不全
,
肝機能障害
,
消化管吸収
,
肝胆汁中排出
,
初回通過効果
,
分布容積
Keyword:
Biological Availability
,
Cytochrome P-450 Enzyme System
,
Drug Interactions
,
Liver Diseases
,
Liver
,
Liver Failure
,
Pharmacokinetics
,
Liver Cirrhosis
,
Inactivation, Metabolic
,
Metabolic Clearance Rate
,
Gastrointestinal Absorption
,
Hepatobiliary Elimination
,
Hepatic Insufficiency
pp.3572-3580
発行日 2020年12月5日
Published Date 2020/12/5
DOI https://doi.org/10.15104/J01461.2021085880
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<Key Points>◎肝臓は豊富な予備能と再生能を有しており、障害を受けても速やかに元の形態へ再生するが、障害が予備能を超えた場合には全身への代謝や血流などに影響を及ぼす。◎肝細胞量の減少は代謝や解毒機能、タンパク合成能の低下を引き起こし、黄疸や肝性脳症、低アルブミン血症による腹水・浮腫、凝固異常などが生じる。また、肝内血管抵抗性増加は門脈圧亢進症を引き起こすとともに、門脈体循環シャントを形成する。◎経口クリアランスは理論上、肝血流量の影響は小さく、遊離形薬物の経口クリアランスは肝固有クリアランスに依存する。しかし、肝障害時には代謝だけでなく、吸収、分布、排泄にも影響し、薬物動態全般に及ぼす影響は複雑である。◎肝障害時の薬物代謝能を精度よく表すバイオマーカーがない現状では、肝障害時の薬物動態の試験の観測値のデータを重視し、かつそのデータも限界がある点を理解した上で、薬物および患者個別に検討し、投与後は慎重にモニターすることが肝要である。
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