特集 透析室の感染症へどう対応するか
総論 3.透析者の免疫システムの障害
大薗 英一
1
1信英会越谷大袋クリニック
キーワード:
樹状細胞
,
黄色ブドウ球菌
,
サニテーション
Keyword:
樹状細胞
,
黄色ブドウ球菌
,
サニテーション
pp.567-571
発行日 2018年6月10日
Published Date 2018/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000493
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
透析者はワクチンによる抗体獲得率が健腎者より低く,ツベルクリン反応が陰転化し結核の罹患率が高くなるといった液性・細胞性の両方の免疫能の低下が認められる.統計調査の死因分類の第2 位が感染症で,肺炎が約半分・敗血症が4 割であった.さらに肺炎の4 割,敗血症の3/4 がメチシリン耐性を含めた黄色ブドウ球菌による感染症であった.感染症起因菌の偏りから生命予後にかかわる生体防御の障害の主体は,免疫細胞による菌微生物の貪食機能の低下と皮膚・粘膜防御の破綻と考えられる.しかしこの障害は管理可能であり,透析者の個人衛生(サニテーション)と,MRSA など耐性菌を積極的に探して保菌のうちに駆除する方法で感染症を減らせると考えられる.
Copyright © 2018, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.