OPINION
Cardionephrologist
藤井 秀毅
1
1神戸大学大学院医学研究科腎臓内科/腎・血液浄化センター
pp.339-340
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000414
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私が医者になったときは,chronic kidney disease(CKD)という言葉はまだ存在しなかった.おそらく,多くの人は,医者でさえも腎臓内科といえば透析を診る科であるとイメージしていただろう.ところが,この「CKD」という言葉が広がるようになってからは,腎臓内科のイメージは大きく変わったと思われる.2002 年に米国のKidney DiseasesOutcomes Quality Initiative(K/DOQI)ガイドラインにおいてCKD の定義,診断基準,病期分類が提唱された.ただ,私が思うにそれ以上にインパクトがあったのは,2003年に米国心臓協会(American Heart Association;AHA)から腎臓病が心血管疾患(cardiovascular disease;CVD)の重要なリスクファクターであることが提唱されたことではないだろうか.CKD の存在,腎機能の低下のみならず,たとえ微量アルブミン尿の存在であっても重要なCVD のリスク因子であることが数々の研究で示されてきた.この結果,循環器内科医はCKD を無視することができなくなったのである.逆にいうと,腎臓内科医もCKD 患者を診る以上,循環器疾患についての知識をもつ必要性が出てきた.そして,近年,「心腎連関(Cardiorenal association)」や「Cardiorenal syndrome」という概念が生まれてきて,腎臓と心臓の結びつきを考える重要性が認識されるようになってきた.
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