特集 キュアとケアをつなぐナーシングスキル
3.実践報告(4) 透析患者の合併症を予防するためのキュアとケア― 透析導入後より全身痛を訴える患者に対し慢性疾患看護専門看護師と複数科連携により奏効した一例
佐藤 今子
1
,
阿部 雅紀
2
1日本大学医学部附属板橋病院看護部・慢性疾患看護専門看護師
2日本大学医学部腎臓高血圧内分泌内科
キーワード:
血液透析
,
慢性疼痛
,
透析アミロイド―シス
,
筋筋膜性疼痛
Keyword:
血液透析
,
慢性疼痛
,
透析アミロイド―シス
,
筋筋膜性疼痛
pp.273-281
発行日 2018年3月10日
Published Date 2018/3/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000366
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透析患者にとって透析時の透析針の反復穿刺,透析中の同一姿勢に起因する筋筋膜性疼痛,関節痛など治療環境が身体的な痛みを増強する環境となる.加えて慢性疼痛の増強因子となる心理社会的要因は表面的な問診では情報収集が難しい.今回,50 代女性で血液透析導入3 カ月後,透析中に胸痛,全身痛を訴え心臓カテーテルを施行したが有意狭窄もなく明らかな痛みの原因が見つからないうえ,透析中は感情失禁も多く慢性疾患看護専門看護師へコンサルテーション依頼があった事例を経験した.当院「痛みセンター」にて慢性疾患看護専門看護師,ペインクリニック医,薬剤師,精神科医,腎臓専門医と協働し集学的治療を実践し,痛みの軽減を図ることができた.われわれ医療者は透析患者のように長い経過を辿る慢性疾患患者を人生の文脈のなかで理解し,個々の生活に関心を寄せ孤立感を抱かせないように全人的な集学的アプローチを行うことが重要である.
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