症例
II型呼吸不全合併の血液透析患者に対しNPPV併用が奏効し救命できた一例
小井土 かおる
1
,
澤田 登起彦
,
堀川 和裕
1偕翔会豊島中央病院 人工透析科
キーワード:
血液透析
,
呼吸不全
,
酸素
,
酸素飽和度測定
,
心不全
,
腎不全-慢性
,
肺水腫
,
非侵襲的陽圧呼吸
,
肺疾患-慢性閉塞性
,
動脈血酸素分圧
Keyword:
Heart Failure
,
Oximetry
,
Renal Dialysis
,
Kidney Failure, Chronic
,
Respiratory Insufficiency
,
Oxygen
,
Pulmonary Edema
,
Pulmonary Disease, Chronic Obstructive
pp.311-314
発行日 2021年2月25日
Published Date 2021/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00714.2021190161
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症例は70歳女性で、慢性閉塞性肺疾患にて在宅酸素療法導入され通院であった。X年1月に虚血性心疾患にて経皮的冠動脈形成術、同年8月には大動脈弁狭窄症にて経カテーテル大動脈弁植込み術を施行した。術後より進影剤の影響と思われる慢性腎不全の増悪がみられ、左内頸静脈にトリプルルーメンカテーテルを挿入し血液透析を開始した。同年10月、バスキュラーアクセス造設目的に当院に転院となった。入院時胸部X線では心胸郭比の拡大を認めたが、肺うっ血は認めず呼吸状態も落ち着いていた。しかし入院2日目の透析前に呼吸困難が出現した。溢水を疑い透析前に1時間体外限外濾過法(ECUM)を追加しDWを0.5kg下げたところ症状は軽快した。引き続き連日2時間ECUMを追加したが、入院4日目にはCO2の貯留を認め意識レベルもGlasgow Coma Scale満点から13(E3V4M6)へ低下した。非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)マスクを装着しNPPVによる呼吸管理を開始しhemodialysis+ECUMを続行したところ、呼吸状態は著明に改善した。NPPVは入院6日目には離脱した。その後、長期留置カテーテルを挿入し、維持透析に移行した。維持透析後は呼吸状態が安定し、酸素投与を終了した。リハビリ目的にて他院へ転院、その後リハビリを経て退院した。現在は当院へ維持透析のため独歩通院中である。
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