OPINION
これからの透析医療
岡田 浩一
1
1埼玉医科大学医学部腎臓内科
pp.1647-1648
発行日 2017年12月10日
Published Date 2017/12/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000000282
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
わが国において末期腎不全患者にHD が導入されるようになって50 年が過ぎ,透析患者数は30 万人を超えるに至った.初期には延命の意味が強かったHD は,いつしか患者のQOL が問われる治療へと進歩し,その技術的なレベルは完成の域に達しているといっても過言ではない.その一つの証拠は,日本の維持HD 患者の寿命が世界第1 位にあるという事実である.ただ,現在のHD を取り巻く状況は,HD 患者の高齢化と合併症の多様化で特徴づけられる.HD 患者の高齢化は維持HD 患者の寿命が延長したのみならず,CKD 診療が向上した結果,保存期腎不全の期間が延長してHD 導入期の高齢化をきたしている点も関与している.またHD 導入基準は示されているものの非導入や中止の基準はないという状況や,患者負担が実質的にゼロである保険制度もその傾向に拍車をかけている.その結果,透析関連の医療費は年間1 兆5 千億円を超えるという膨大な額に達しており,数年来の傾向から診療・介護報酬のダブル改定の年となる2018 年には,医療者や企業にとってかなりの逆風が想定される.
Copyright © 2017, Nihon Medical Center, Inc. All rights reserved.