増刊号 それぞれの創傷治癒
5.採皮創における創傷治癒
副島 一孝
1
1日本大学医学部形成外科
pp.S20-S24
発行日 2024年6月30日
Published Date 2024/6/30
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2024130008
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はじめに
皮膚移植は皮膚欠損創の創閉鎖法としてゴールドスタンダードであり,全層皮膚移植と分層皮膚移植に大別される。それぞれの皮膚採皮部として採皮創が生じるが,通常,全層皮膚採皮創は縫縮されて治癒し,分層採皮創は自然上皮化して治癒する。表皮のみの採取あるいは熱傷のⅡ度浅達性熱傷(superficial dermal burn:SDB)に相当する真皮表層までの極薄分層皮膚の採取であれば瘢痕をほとんど残さずに治癒が期待されるが,ある程度真皮を採取する通常の分層採皮創では,修復による創傷治癒現象により瘢痕を形成して治癒する。分層採皮創の肥厚性瘢痕形成や,高齢者や基礎疾患を有する症例での分層採皮創の治癒遷延が問題となることがあり,「いかに早くきれいに治すか」という課題が分層採皮創でも議論されるようになり,採皮部位の選択,創傷被覆材の選択,細胞増殖因子の併用,各種細胞治療,採皮時の余剰皮膚の戻し植皮などが報告されてきた。
本稿では,「採皮創の創傷治癒」と題して,分層採皮創の創傷治癒の基本および分層採皮創を早くきれいに治すための最近のトピックについて述べる。
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