増刊号 それぞれの創傷治癒
4.植皮の創傷治癒
光井 俊人
1
,
覚道 奈津子
1
1関西医科大学形成外科学講座
pp.S15-S19
発行日 2024年6月30日
Published Date 2024/6/30
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2024130007
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はじめに
植皮という言葉は,かつては有茎皮弁を示す単語としても使用されていた時代があった。しかし,現在では,植皮(skin graft)とは遊離植皮術(free skin graft)を示す単語として使用されることがほとんどである。現在施行されている遊離植皮術のほとんどは自家移植で行われている。遊離自家植皮術とは,自己の皮膚を採取部(donor site)から採取して,別の部位にある皮膚欠損部(移植床:recipient site)を覆うための手術手技であり,皮膚欠損部に永久的な生着を期待できる皮膚の移植方法である。遊離植皮術は,植皮片の厚さによって分層植皮(split thickness skin graft:以下,STSG),全層植皮(full thickness skin graft:以下,FTSG),そして含皮下血管網植皮(preserved subcutaneous vascular network skin graft:以下,PSVNG)と分類されている。分層植皮はさらにその厚みによって3つに分類されている。
ここでは,遊離自家植皮術とその創傷治癒過程(生着過程) 1)~3)について述べる。
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