投稿論文 短報
アンプルガラス片がシリンジェクター🄬破損の原因となった1症例
辻 和也
1
,
桐村 美穂
,
深川 博志
,
小山 智弘
1京都桂病院 麻酔科
キーワード:
Fentanyl
,
ガラス
,
自己調節鎮痛法
,
術後痛
,
注入器
,
機器機能不全
,
アンプル
Keyword:
Fentanyl
,
Glass
,
Equipment Failure
,
Analgesia, Patient-Controlled
,
Infusion Pumps
,
Pain, Postoperative
pp.304-306
発行日 2021年3月10日
Published Date 2021/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021190164
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症例は73歳男性で、再発肝細胞がんの診断で全身麻酔下に腹腔鏡下肝部分切除術を施行した。術後鎮痛目的にクーデックシリンジェクターPCA装置(以下、シリンジェクター)にフェンタニル24mlと生理食塩液26mlを充填し、術中から経静脈的投与を開始した。シリンジェクターへの薬液充填時には違和感はなかった。投与開始から5時間経過した時点の薬液残量は設定流量と矛盾がなかった。投与開始5~13時間後の8時間にボーラス投与を行わなければ薬液残量が本来8ml減少するはずであるが、ボーラス投与は8時間で1回(1ml)しか行っていないにもかかわらず、薬液残量が30ml減少していた。フェンタニルの過量投与の可能性を考慮し、シリンジェクターの使用を中止した。事象発生以降、フェンタニルの副作用を認めず経過した。製造販売業者がシリンジェクターを調査した結果、液体側パッキンとシリンダー壁面の間に1260×550μm大のガラス片が検出され、液体側パッキン外のシリンダー内側に液滴が確認された。このことから、ガラス片が挟まったことにより液密性が損なわれたために液漏れが生じ、残薬液量が急減したと推測された。ガラス片除去後の流量測定において仕様範囲内の液体吐出が確認された。
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