投稿論文 短報
バリウムによる回腸結腸壊死における麻酔経験
小寺 厚志
1
1熊本セントラル病院 麻酔科
キーワード:
Barium Sulfate
,
Propofol
,
壊死
,
回腸疾患
,
術中合併症
,
静脈麻酔
,
低血圧
,
Remifentanil
,
緊急手術
,
結腸疾患
,
腹部CT
Keyword:
Barium Sulfate
,
Anesthesia, Intravenous
,
Ileal Diseases
,
Hypotension
,
Intraoperative Complications
,
Propofol
,
Necrosis
,
Remifentanil
,
Colonic Diseases
pp.1211-1214
発行日 2020年11月10日
Published Date 2020/11/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021050833
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83歳男。バリウムによる胃がん検診を受けた翌日に腹痛が出現し、救急外来を受診した。バリウム塊による腸閉塞の疑いで下部消化管内視鏡検査を施行されたが、S状結腸粘膜面が暗赤色で腸管虚血が疑われたため緊急手術となった。術中の輸液管理は1回拍出量変動(SVV)を指標に行ったが、遷延する低血圧に苦慮した。SVV値は前負荷不足の指標となる一方で前負荷充足の指標にはならないと報告されており、血圧や心拍数も加味してSVV値だけに頼らない総括的な輸液管理をすべきであったと考えられた。また、輸液に酢酸リンゲル液や5%アルブミン製剤を使用したが、本例の病態は腸管壊死に加え、結腸全体に貯留したバリウムにより体液が細胞外へ移動して循環不全が悪化・遷延していたと考えられ、酢酸リンゲル液や5%アルブミン製剤のような低・等膠質輸液製剤よりも、血漿増量効果の強いヒドロキシエチルデンプンや25%アルブミンなどの高膠質性製剤が本病態に対して適切であった可能性も示唆された。
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