投稿論文 短報
気管挿管後に遅発性気管支閉塞を生じた上行弓部大動脈瘤症例の麻酔経験
五月女 風香
1
,
茶木 友浩
,
平田 直之
,
山蔭 道明
1札幌医科大学 医学部麻酔科学講座
キーワード:
気管支疾患
,
気道閉塞
,
気管内挿管法
,
心肺バイパス術
,
大動脈瘤-胸部
,
大動脈置換術
,
胸部CT
Keyword:
Cardiopulmonary Bypass
,
Aortic Aneurysm, Thoracic
,
Airway Obstruction
,
Intubation, Intratracheal
,
Bronchial Diseases
pp.1060-1063
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021033163
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74歳女。上行弓部大動脈瘤に対して大動脈弓部置換術を予定した。術前のCT検査で左主気管支に軽度狭窄を認めたが、呼吸器症状は認めなかったため、通常の胸部大動脈瘤に対する麻酔導入を行った。気管挿管後から1回換気量が徐々に減少し、SpO2が85%まで低下した。聴診で左肺呼吸音の消失を認め、気管支ファイバースコープで観察したところ、気管分岐部直後で左主気管支が腹側と背側から圧迫される形で閉塞していることが明らかになった。手動換気を開始し、間歇的リクルートメント手技によりSpO2>90%を維持することができ、人工心肺を緊急導入することで危機的な低酸素血症を回避できた。気管支閉塞を生じた要因として「自発呼吸の消失」「筋弛緩薬・吸入麻酔薬の影響」が考えられた。すなわち、自発呼吸消失、筋弛緩薬作用発現後に気管支閉塞が生じ、吸入麻酔薬によって気管支平滑筋が徐々に弛緩し、気道抵抗減少によって気管支狭窄増悪をきたしたと考えられた。
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