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症例1は2ヵ月男児。左頬部乳児血管腫を主訴とした。在胎週数35週2日、出生体重は2509gであった。生後4日ごろより右耳介下部に紅斑が出現、増大した。プロプラノロールを0.5mg/kg/日より内服開始し、2mg/kg/日まで増量した。内服4日より低血圧を繰り返したため、1.5mg/kg/日に減量し、10日目に退院となった。退院後は経過良好で、腫瘍は退縮し、内服を終了した。症例2は、2ヵ月男児。左内眥~左頬部乳児血管腫を主訴とした。在胎週数36週2日、出生体重は2184gであった。生後10日頃より左内眥部から左頬にかけて赤色斑が出現、増大し、生後2ヵ月に患側の眼脂が多く、腫瘍の圧排による鼻涙管閉塞が疑われた。プロプラノロールを0.5mg/kg/日より内服開始し、2mg/kg/日まで増量し退院となった。内服15日に血清Kの高値を認め中止したが、内服29日に腫瘍の増大と血清K低下を認めたため0.5mg/kg/日で再開した。血清K値は低下し1mg/kg/日に増量したが、再び上昇を認めたため0.5mg/kg/日に減量した。内服140日頃に気管支喘息と診断され、内服を中止し、その後、腫瘍の増大や眼脂が増えたが、気管支炎などで入院を繰り返していたため、内服は再開せずに経過観察を行った。1歳頃より腫瘍は自然退縮傾向を認め、3歳7ヵ月時には隆起は目立たないくらいまで退縮した。症例3は2ヵ月男児。左上腕乳児血管腫を主訴とした。在胎週数36週2日、出生体重は2760gで、心房中隔欠損症であった。レーザー照射後、生後7ヵ月時にプロプラノロールを1mg/kg/日より内服開始、3mg/kg/日まで増量した。生後1ヵ月に気管支炎に罹患し、内服を中止した。中止後、萎縮性の瘢痕は残存しているが、腫瘍は平坦化を認めた。症例4は1ヵ月男児。右上眼瞼乳児血管腫を主訴とした。在胎週数34週5日、出生体重は2788g、切迫早産で帝王切開であった。生後右上眼瞼に赤色斑が出現、増大し、生後1ヵ月にプロプラノロールを1mg/kg/日より開始し2mg/kg/日まで増量した。その後、血圧低下を認め1.5mg/kg/日に減量した。内服23日に母親より口唇蒼白の訴えがあり一過性の低血圧を疑い、1mg/kg/日に減量した。内服37日に母親より血管腫の増大を認めたので自己判断により増量して飲ませたとのことだったが、増量した量でちょうど1mg/kg/日であった。血管腫増大も認めたため1.25mg/kg/日に増量した。血管腫の増大は止まったが縮小は認めず、2mg/kg/日に増量した。嘔吐を認めたため自己判断で1.6mg/kg/日減量したと報告され、その後1.6~1.7mg/kg/日で血管腫の縮小を認めたが、腫瘍の残存を認めたため内服は継続した。
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