特集 子宮頸がん予防の最前線
9.HPV感染型による子宮頸がん治療の個別化
寺尾 泰久
1
Y. Terao
1
1順天堂大学産婦人科(教授)
pp.1007-1012
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003541
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子宮頸がんは高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が主因で,型分布は地域差がある。日本ではHPV16・18型が約7割,次いで52・58型が多い。HPV型別自然史研究によりHPV16型が最も高リスクで,HPV型と感染持続期間がCIN 3以上への進展予測に有用と判明した。TCGAの解析ではHPV型により遺伝子変異や免疫環境が異なり,治療反応性に影響することがわかってきた。治療用ワクチン(ライブベクター,ペプチド,核酸,細胞ベース)やCRISPR/Cas9,遺伝子編集技術を用いたiPSC由来HPV抗原特異的rejT療法など先端療法の開発が進み,特にHPV型別情報を活用した個別化戦略が期待される。

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