Japanese
English
綜説
精液のpH
The acidity (pH) of Semen
坂倉 啓夫
1
,
小川 繁樹
1
,
謝敷 宗吉
1
,
矢田部 栄次
1
Yoshio Sakakura
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科教室
pp.411-415
発行日 1959年5月10日
Published Date 1959/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201956
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I.まえがき
最近精液科学の進歩に従つて不妊症における男性因子の占める位置は極めて大きく評価されている。Mac Leod, Hotchkiss, Farris等の著明な精液研究者は勿論であるが,Michelsonは50%,Weyennethは1/3,Mclane は38.2%,Israelは50%,Sängerは46.4%,Leikkolaは50%以上,高島は50〜60%,飯塚は女性要因の3倍であるといい,今日不妊症の要因の問題は産婦人科領域に於ても新なテーマとなつてきている。従つてこれが要因の解決に当つて,殊に男性側よりの精液分析の業蹟は実におびただしいほどあるが,精液の物理化学的性状よりする研究は極めて重要であるにもかかわらず,本邦に於ける文献は極めて少ない。殊に人精液においてそうである。
精液のpHは物質代謝のみならず,呼吸,滲透圧,酵素反応にも重要な意義を有するもので,かつてSerönsenはすべての生物学的機転に於てpHのはたす役割は極めて重要であるといったが,正に至言といわねばならない。
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