症例
性別不合女性(GI/FTM)に対する器質性月経困難症の保存的治療の一経験
江川 晴人
1
H. Egawa
1
1産科・婦人科江川クリニック(院長)
pp.1592-1596
発行日 2024年11月1日
Published Date 2024/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003220
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32歳の性別不合女性。子宮内膜症を認め,器質性月経困難症に対し,ジエノゲストによる治療を開始した。不正性器出血が持続し,黄体ホルモン剤であっても女性ホルモン剤の使用が大きな精神的苦痛となり中止し,ダナゾールに変更した。その後,疼痛も良好に抑制できたが,一方で外見的な男性化については満足することができず,テストステロンエナント酸エステル注射液を希望し変更した。月経痛もなく,男性化の変化にも満足し良好に経過した。投与開始1年後,性器出血をきたしたがブセレリン酢酸塩を投与し,まもなく止血した。本症例では治療開始より2年以上経過し,月経困難症の治療のみならず,薬物治療による副作用に対しても患者の心理的な問題に配慮した薬剤を選択することで満足度の高い治療を継続している。
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