症例
骨盤内腫瘍に対する腹腔鏡下手術で診断に至った硝子血管型Castleman病の1例
塩見 真由
1
,
福田 弥生
1
,
寺田 美希子
1
,
祝 小百合
1
,
德川 睦美
1
,
邨田 裕子
1
,
細井 文子
1
,
西尾 幸浩
1
,
香山 晋輔
1
M. Shiomi
1
,
Y. Fukuda
1
,
M. Terada
1
,
S. Iwai
1
,
Y. Tokugawa
1
,
H. Murata
1
,
A. Hosoi
1
,
Y. Nishio
1
,
S. Kouyama
1
1大阪警察病院産婦人科
pp.973-978
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003092
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Castleman病とは原因不明のリンパ増殖性疾患である。発生部位としては,頭頸部や縦隔が最も多く後腹膜発生は比較的まれである。今回,われわれは腹腔鏡下に腫瘍摘出した後腹膜発生のCastleman病の1例を経験したので報告する。症例は50歳,2回経産婦。MRI検査では左骨盤内に4cm大の腫瘤を認めた。左正常卵巣が同定できないため左卵巣腫瘍が疑われ,粘液性腫瘍や脂肪成分が少ない成熟囊胞性奇形腫などが術前診断の鑑別として挙がった。診断的治療の目的で腹腔鏡手術を行った。腹腔内を観察すると,腫瘍は左広間膜内に発育し,別に肉眼的正常な左付属器を確認できた。同腫瘍の主な血流は鼠径上リンパ節からきていたため,鼠径上リンパ節とともに腫瘍を摘出した。手術時間は139分,出血量は50mlであった。術後病理診断は,硝子血管型Castleman病であった。硝子血管型Castleman病は腫瘍切除によって根治が可能な予後良好な疾患であるが,豊富な腫瘍血管を伴うため摘出時に注意を要する。後腹膜発生のCastleman病の治療として,拡大視による繊細な手術が可能な腹腔鏡手術は有用である。
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