症例
機能性過多月経の原因として血液疾患の存在が考えられた2症例
岡崎 友里
1
,
嶋津 光真
1
,
今永 弓子
1
,
妹尾 紀子
2
,
服部 慎之介
1
,
南谷 智之
1
,
岡 京子
1
,
中村 真弓
1
,
西川 有紀子
1
,
坂井 啓造
1
,
中北 武男
1
Y. Okazaki
1
,
M. Shimazu
1
,
Y. Imanaga
1
,
N. Senoo
2
,
S. Hattori
1
,
T. Minamitani
1
,
K. Oka
1
,
M. Nakamura
1
,
Y. Nishikawa
1
,
K. Sakai
1
,
T. Nakakita
1
1総合大雄会病院産婦人科
2同 血液内科
pp.963-967
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003088
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過多月経がある女性に対して,基礎疾患として血液疾患が存在するかどうかを詳細に検索されているとは限らない。過多月経の原因精査にて血液疾患の存在が判明ないし疑われた2症例を経験したため報告する。症例1:36歳,未妊。初経より過多月経があった。APTTは正常値,超音波断層法にて子宮,卵巣に器質的異常を認めず,低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(LEP)内服にて加療継続となっていた。36歳時に第Ⅷ因子とvon Willebrand因子活性(VWF活性)ともに低下が判明し,血液内科にてvon Willebrand病(VWD)の診断となった。症例2:50歳,3妊2産。断続的な過多月経があった。48歳時に左卵巣皮様囊腫を認めたため手術方針となり,術前検査にてAPTT 36.0秒と軽度延長していた。腹腔鏡下左付属器切除術を施行し,術中出血は少量であったが,術後7日目に広範囲の皮下血腫を生じた。血液疾患の存在が疑われ,血液内科にて第Ⅷ,Ⅸ因子,VWF活性のすべての低下を認め,出血傾向の家族歴も判明したため,大学病院への紹介も視野に精査中である。結語:過多月経女性への診療時にはそのライフイベントへの影響も考慮し,血液疾患の検索も念頭におくべきと考えられた。
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