診療
高齢(65歳以上)婦人科がん治療を対象とした高齢者総合機能評価(GA)に関する前向き観察研究
-―婦人科がん薬物療法の完遂度の推定を中心に―
鶴田 智彦
1
,
松宮 寛子
2
,
黒須 博之
2
,
山田 竜太郎
3
,
蓑輪 郁
3
,
見延 進一郎
3
,
藤堂 幸治
3,4
,
加藤 秀則
3
T. Tsuruta
1
,
H. Matsumiya
2
,
H. Kurosu
2
,
R. Yamada
3
,
K. Minowa
3
,
S. Minobe
3
,
Y. Todo
3,4
,
H. Kato
3
1香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学(総合周産期母子医療センター)
2北海道大学医学部産婦人科
3北海道がんセンター婦人科
4医療法人GyNet南森町レディースクリニック
pp.307-315
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002498
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【目的】高齢婦人科がん患者に対する高齢者総合機能評価(geriatric assessment;GA)の有用性の検討を目的とした。【対象/方法】対象は北海道がんセンターにおいて2020年7月~2021年6月にがん治療を予定し,本研究の同意を得た65歳以上の婦人科がん患者148人である。治療前にGeriatric8(G8)とmini-COGの2つのツールを用いてGAを施行し点数を算出した。標準投与量を減量せずに化学療法を3サイクル施行できたかを主要評価項目とし点数との関係性を検討した。また,手術や放射線治療を受けた被験者に対してもGAを実施し,その特徴についても検討した。【結果】G8点数の内訳は,17~14.5点は62人(41.9%),11~14点は59人(39.9%),3~10点は27人(18.3%)であった。またmini-COG点数は,満点である5点が82人(55.4%)と最多であったが,認知症が疑われる2点以下は23人(15.5%)であった。主要評価項目に関しては,G8の点数は高い群から順に成功率が有意に高かった(77.5%,59.5%,25.0%)。また点数が低い群は高いあるいは中間群に比較して有意に低い率であった(p=0.002,p=0.038)。一方でmini-COGの点数に関しては成功率に有意差を認めなかった。【結論】GAは高齢婦人科がん薬物療法の完遂度の指標に有用であることが示唆された。
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