特集 産婦人科漢方医学―基礎と臨床のエビデンス―
臨床研究における漢方のエビデンス
9.リアルワールドデータを用いた産婦人科漢方の臨床研究
康永 秀生
1
H. Yasunaga
1
1東京大学大学院医学系研究科臨床疫学・経済学(教授)
pp.273-276
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002492
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リアルワールドデータ(RWD)とは,日常の臨床から得られる患者データの総称である。漢方薬のランダム化比較試験は増加傾向であるものの,RWDを用いた研究はまだ少ない。本稿では,RWDを用いた漢方臨床研究の実例を紹介する。不育症に対し漢方薬(当帰芍薬散,柴苓湯など)を使用した群は,使用しなかった群と比較して,児の出生率が有意に高かった。妊娠悪阻および妊娠中のうつに対する漢方薬の使用は,児の先天異常,低出生体重,早産との関連を認めなかった。イリノテカンの副作用である下痢に対する半夏瀉心湯の予防的投与は,イリノテカンの忍容性の改善と在院死亡率の低下と関連していた。
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