特集 産婦人科漢方医学―基礎と臨床のエビデンス―
臨床研究における漢方のエビデンス
10.更年期障害に対する加味逍遙散の効果
-―3つのランダム化比較試験の結果から―
髙松 潔
1
K. Takamatsu
1
1東京歯科大学市川総合病院産婦人科(教授)
pp.277-282
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002493
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加味逍遙散は更年期障害への漢方方剤として最も頻用されている。その効果については,ホルモン補充療法(HRT)を対照としたランダム化比較試験(RCT)において,入眠障害,興奮・イライラ,めまい,手足のしびれがHRTよりも有効であった。一方,プラセボを対照とした2つのRCTでは,高いプラセボ効果のため,主要評価項目での検討では群内では効果を認めたものの,プラセボとの有意差は示されなかった。しかし,有効であった症例の割合では加味逍遙散が有意に高かった。また,エストロゲン消退の影響の少ない閉経前で有効性が示されており,一定の効果はあるものと考えられる。加えてこれらの試験においては重篤な有害事象を認めておらず,安全に投与できると思われる。
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