特集 いま改めて妊娠高血圧症候群を考える―診療指針改訂のポイントから―
10.甲状腺疾患と妊娠高血圧症候群
荒田 尚子
1
N. Arata
1
1国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター母性内科
pp.509-514
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002145
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バセドウ病や慢性甲状腺炎などの甲状腺疾患は妊娠可能年齢に好発し,潜在性甲状腺機能異常も含めると全妊婦の数%に異常がみられる頻度の多い疾患である。未治療やコントロール不良の甲状腺機能亢進症の場合は妊娠高血圧症候群の発症リスクが一般妊婦に比較して高く,未治療または不十分な治療の甲状腺機能低下症も妊娠高血圧症候群のリスクが上昇する。いずれも治療によりそのリスクは改善することから妊娠中のみならず妊娠前からの適切な管理が重要である。近年,潜在性甲状腺機能異常や甲状腺自己抗体陽性と妊娠高血圧症候群との関係性も注目されてきており,妊娠高血圧症候群発症に対する甲状腺ホルモンの過不足や甲状腺自己抗体の役割が明らかにされる必要がある。
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