特集 図解 分子メカニズムから理解する婦人科がんの薬物療法
【総論】
Ⅲ 抗悪性腫瘍薬使用時の副作用に対する対策
4.末梢神経障害
小柳 円花
1
,
荻堂 亮甫
1
,
西郷 雅美子
1
,
今井 哲司
1
M. Koyanagi
1
,
R. Ogido
1
,
M. Saigo
1
,
S. Imai
1
1京都大学医学部附属病院薬剤部
pp.1363-1370
発行日 2021年11月30日
Published Date 2021/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001947
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婦人科領域で使用される抗悪性腫瘍薬のうち,タキサン製剤(パクリタキセル,ドセタキセル)やプラチナ製剤(シスプラチン)は高頻度で末梢神経障害を引き起こす。末梢神経障害は,感覚神経障害と運動神経障害に大別されるが,これらの製剤による末梢神経障害では主に感覚症状(障害)が前景に立ち,初期に手足のしびれ感,チクチク・ピリピリとした刺激感や痛み,灼熱痛といった陽性症状が現れ,重症化すると感覚鈍磨,異常感覚などの陰性症状が混在するケースが多い1)2)。靴下-手袋型(靴下,手袋の着用部分)に神経症状が現れることが特徴で,指やつま先のような末端のほうから症状が始まり,進行とともに症状を呈する範囲が広がる3)。いずれの製剤も蓄積毒性を示し,1回の投与量や総投与量が多くなるほど末梢神経障害の発症率が高くなる2)。パクリタキセルやシスプラチンといった代表的な抗がん薬では,総投与量が300mg/m2を超えると発症頻度が増加する4)。また,末梢神経障害を惹起しうる抗がん薬を複数併用することによっても発症率が高くなる5)6)。
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