特集 図解 分子メカニズムから理解する婦人科がんの薬物療法
【総論】
Ⅰ 婦人科における抗悪性腫瘍薬の種類と特徴
5.ピリミジン代謝拮抗薬:ゲムシタビン,フルオロウラシル
山ノ井 康二
1
K. Yamanoi
1
1京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学教室
pp.1250-1255
発行日 2021年11月30日
Published Date 2021/11/30
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001929
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細胞が増殖するには,細胞分裂が必須である。細胞が正しく分裂するには,自身のDNAを正確に複製する必要がある。また複製したDNAから蛋白質を生合成するためには,RNAへと転写する過程を経ねばならない。すなわち,DNAの複製,そしてDNAからRNAの生合成というステップは,細胞が増殖するうえで欠かせない部分である。このDNA,RNAを形成する原材料が,「核酸」である。がん細胞は増殖能力が非常に高いことがその特徴であるため,必然的に核酸を多く必要とするはずである。フルオロウラシル(5-FU),ゲムシタビンは,この核酸の生合成経路に関与し,抗がん作用を発揮する薬剤である(図1)。
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