特集 内膜を極めるⅡ—婦人科疾患の治療と内膜機能—
4.子宮鏡手術から考える子宮内膜の温存と破壊
井上 滋夫
1
S. Inoue
1
1佐野病院 切らない筋腫治療センター 部長
pp.1149-1158
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001447
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筋腫核剝離向中心切削法を発展させた内膜温存経頸管摘除術(TCR)術式「一搔き剝離法」と「内膜線状切開剝離法」を示し妊娠出産例を紹介する。また,妊娠を望まない過多月経例の子宮鏡下内膜アブレーションの術式と治療効果・予後について述べ,子宮鏡手術における内膜の再生と温存の意義を考察する。TCRでは,筋腫の圧排で生じた筋層陥凹は筋腫摘出により消失する。筋腫増大により増殖した「筋腫を覆う内膜」を切除しても,筋層陥凹が縮小し周辺の内膜が増殖すれば欠損は修復する。内膜温存を意識しない術式でも癒着なく内膜が再生し妊娠出産できるので,内膜温存にこだわるより,むしろ突出率の低い大きな筋腫を効率的に安全に摘出する手法の習得が重要である。
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