臨床経験
20年間持続した慢性外陰痛(vulvodynia)に漢方治療が奏効した1例
岡村 麻子
1,2,3,5
,
木村 友沢
1,4
,
辻本 夏樹
1
,
中村 優子
1,4
,
小倉 絹子
1,4
,
田中 奈美
1
,
柴田 衣里
1
,
長田 佳世
1
A. Okamura
1,2,3,5
,
Y. Kimura
1,4
,
N. Tujimoto
1
,
Y. Nakamura
1,4
,
K. Ogura
1,4
,
N. Tanaka
1
,
E. Shibata
1
,
K. Osada
1
1つくばセントラル病院産婦人科
2日立総合病院産婦人科
3東邦大学薬学部
4筑波大学産婦人科
5東西結合医療研究所
pp.1007-1011
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001395
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原因不明の慢性外陰痛をvulvodyniaとよび,器質的疾患が特定できず西洋医学的な対応だけでは治療に苦慮することも多い。症例は57歳,53歳閉経,未経妊未経産,BMI 18.3。15年間の不妊治療歴あり。約20年続く外陰痛を認め,複数の病院を受診するも軽快せず「外陰を切除してほしい」と訴え当院初診となった。食は細く,肌は乾燥気味,冷えると腹痛や頭痛が増し,手足の冷えは尋常ではないと訴えた。虚弱で貧血気味,冷えると腰腹痛や頭痛を生じる(血虚受寒)タイプに有効とされる当帰四逆加呉茱萸生姜湯(TJ-38)5.0g分2/日の1カ月の内服で冷えが改善し,外陰痛も消失した。温めて血流を改善しうる東洋医学的な視点を早めに導入する必要性を実感した症例であった。
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