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【目的】フォトフリンを用いたPDT(P-PDT)は,CIN3の子宮温存療法として,円錐切除術よりも妊孕性温存能が高い治療法であると考えられている。P-PDTはCINに対して高い有効性を示し,P-PDT後の早産などの産科リスクも低い。しかしながら,光線過敏症の副作用が強く,入院期間も長いため,標準治療には至っていない。そこで,血中半減期の短いレザフィリンと半導体レーザを用いたPDT(L-PDT)の安全性と有効性を検討するため,UMIN登録後に第Ⅰ/Ⅱ相の臨床試験としてL-PDTの検討を行った。
【方法】2016年3月倫理委員会の承認を得て,L-PDTの第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を43症例のCIN,特に高度扁平上皮内病変(HSIL)(CIN2:4症例,CIN3:39症例)に対してインフォームド・コンセント(IC)を取得後,2016年3月から2019年3月まで実施した。まず,安全性とレーザ照射の推奨用量(RD)を検討するために第Ⅰ相臨床試験を実施した。50,75および100J/cm2の各ステップについて,3症例ずつ合計9症例に実施した。推奨用量でのL-PDTの安全性と有効性をさらに検討するために,第Ⅱ相臨床試験を34症例のHSIL(CIN3)に対して実施した。
【成績】第Ⅰ相臨床試験において,用量制限毒性(DLT)は1例も観察されなかった。ステップ3においてもDLTを認めなかったことから,RDはステップ3の照射エネルギー密度100J/cm2と決定した。第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験の結果,主な副作用は,レーザ照射に伴うGrade 1~2の下腹部痛,およびレーザ照射後のGrade 1~2の発熱であった。光過敏症は3/43症例(6.9%)のみにみられGrade 1であった。L-PDT施行3カ月後,CIN2~3の組織学的消失は41/43症例(95%)で観察された。L-PDT 6カ月後,さらに1例CIN3の組織学的消失が観察された。HR-HPVはL-PDT 3カ月後,32/40症例(80%)で消失した。
【結論】L-PDTでは,一時的な下腹部痛や発熱が認められたが,P-PDTと異なり光線過敏症はほとんどみられず,L-PDTの安全性が示唆された。L-PDT 3,6カ月後のCR率はそれぞれ95,98%であり,L-PDTの有効性も示唆された。これらのデータは,L-PDTが妊孕性温存療法としてCIN,特にHSILに対する次世代PDTになりうることを示唆している。
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