特集 婦人科医が知っておくべきがん遺伝子パネル検査の基礎知識
Ⅳ.がん個別化治療への道筋
9.がん遺伝子パネル検査の結果に基づく患者申出療養(受け皿試験)
下井 辰徳
1,2
T. Shimoi
1,2
1国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科
2国立がん研究センター希少がんセンター
pp.745-753
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001331
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2019年6月,わが国において2種類のがん遺伝子パネル検査が保険適用となった。過去の研究によると,がん遺伝子パネル検査結果に基づき,遺伝子異常に合ったがん治療薬が候補になる患者は5割以上であったにもかかわらず投与を受けることのできた患者は1割程度とされ,薬剤へのアクセス改善が課題とされてきた。このような現状のなか,治験・先進医療Bなどの臨床試験がないまたは対象とならない患者を対象に,患者申出療養の枠組みのなかで,適応外薬をがん遺伝子パネル検査の結果に基づき投与する臨床研究(通称,受け皿試験)が開始となった。本稿では,この受け皿試験の現状と課題,将来展望について論じる。
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