境界領域/知っておきたい
患者申出療養制度
副島 研造
1
Kenzo SOEJIMA
1
1慶應義塾大学病院臨床研究推進センター
pp.480-483
発行日 2017年5月25日
Published Date 2017/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408200822
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はじめに
わが国の医療保険制度においては,必要な医療については基本的に,保険診療で行われるべきであること,保険適用となるのは治療の安全性・有効性が確認されたものであること,とされている.健康保険法において,保険診療と保険外診療(自由診療)を併用して行う場合には,法令で定めた一定の場合〔厚生労働大臣の認める先進医療や医薬品・医療機器の治験などの評価療養,患者の自由な選択に係る費用(差額ベッド代など)などの選定療養〕を除いて,保険診療部分も含めてすべて自己負担となる1).
こうした現状に対して,平成24年(2012年)12月末に発足した第二次安倍内閣の「規制改革会議」において,国民一般および経済界から寄せられた規制改革要望として,「保険外併用療養のさらなる拡大」が取り上げられ,医療者側との十分な意見交換のないまま議論が重ねられた.その結果,「困難な病気と闘う患者からの申出を起点として,(中略)国内未承認医薬品等の使用や国内承認済みの医薬品等の適応外使用等を迅速に保険外併用療養として使用できるよう,保険外併用療養費制度の中に,新たな仕組みとして,『患者申出療養』を創設し,患者の治療の選択肢を拡大する」ことが,平成26年(2014年)6月「日本再興戦略 改訂2014」の1つとして閣議決定され,翌2015年,国会審議を経た後,5月29日に公布された.
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