発言席
批判の受け皿を
樋口 恵子
1
1高齢社会をよくする女性の会
pp.341
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901138
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先だってある地域の保健婦さんの研修会にお招きを受けた。私はズケズケものを言うことで定評あるらしいが,相方の医師(男性)が私に輪をかけて,はっきりモノを言う方だった。内容はまさに正論・直言である。その結果,保健婦の現状について相当批判的な発言となり,あとで「落ち込んだ」「やる気をなくした人もいる」という反応があり,少々言い過ぎたかな,と首をすくめている。まあ,その場で私が言ったことを聞いて下さい。
私は主として2つのことを言った。住民は何といっても困った時のお助けマン・お助けウーマンを求めている。予防はもちろん大切だが,人情として,予防よりも緊急の助けに存在価値を見出すのはやむを得ないことだろう。素人の家族が,痴呆性や寝たきりのお年寄りを抱えて,精神的にパニック状態にある時,保健婦さんが来てくれればお助けウーマンだと思うだろう。そこで,看護婦さんの訪問看護と同じ期待をすると裏切られることがある。医療の必要な在宅高齢者を地域に大勢抱えていく今,保健婦さんには十分な臨床経験をもって,地域に来てほしい。これは養成のあり方に問題があり,保健婦自身の責任ではないが,やはり人間の生き死にに関わる仕事として,保健婦の仕事を選んでほしいと思う。
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