特集 子宮頸がん予防—日本はどうする?—
13.HPVワクチン接種プログラムは子宮頸がん検診をどのように変えるのか?
藤井 多久磨
1
,
川原 莉奈
1
T. Fujii
1
,
R. Kawahara
1
1藤田医科大学医学部産婦人科学
pp.275-283
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001215
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子宮頸がんは予防可能ながん種として認識されてきた。HPV感染を予防することで発がんのリスクを抑え,感染後の細胞の変化を検診にて捉えることで,前がん状態もしくはがんであっても早期発見であれば,がん死することは避けられる。世界保健機関は今世紀中に子宮頸がんを撲滅するために,この10年ですべきことのロードマップを示している。一番重要なことはワクチン接種率を上げることにあり,次にすべきことは,費用対効果の点で最も効率のよい年齢で検診受診率を上げることである。ワクチン接種率が上がることにより,相対的に細胞診の検査としての精度は下がるので,HPV検査が検診手法の主流となる。検査としての感度が上がれば,当然受診間隔も延長可能となる。HPV検査キットにも種類があり,管理指針を念頭においたキットの選択も考慮する。オーストラリアではワクチン接種をいち早く国家レベルで導入し,HPV検診も導入されてきた。ワクチン接種とHPV検診プログラムの導入により,浸潤がんは著明に減少すると見込まれる。
世界規模でみてみると超高所得国では9価ワクチンの接種カバー率が80〜100%で,生涯2回の検診が達成できれば,子宮頸がん撲滅は2055〜69年に可能との数字が示された。今や世界の潮流はワクチン接種率を上げ,それに伴いHPV検査を検診として導入することである。さらに費用対効果を考慮に入れると,生涯においてなるべく少ない検診回数で早期発見に努めることが主流となる。
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