症例
産褥期に発症したA群溶連菌感染症による汎発性腹膜炎の1例
鎌田 広之
1
,
智多 昌哉
1
,
川合 貴幸
1
,
石川 真
1
,
伊藤 朋子
1
,
高橋 泰洋
1
,
村田 知美
1
,
宮本 純孝
1
,
中村 学
1
H. Kamata
1
,
M. Chita
1
,
T. Kawai
1
,
M. Ishikawa
1
,
T. Ito
1
,
Y. Takahashi
1
,
T. Murata
1
,
S. Miyamoto
1
,
M. Nakamura
1
1さいたま赤十字病院
pp.1609-1613
発行日 2019年12月1日
Published Date 2019/12/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001130
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周産期のA群溶血性連鎖球菌感染症は,劇症化により母体死亡の原因となる重篤な疾患である。症例は39歳,2妊2産。妊娠経過に特記すべき異常は認めず,妊娠39週に自然経腟分娩となった。産褥3日目に発熱,下腹部痛を訴え,腸閉塞の疑いで当科に搬送となった。腹部CT検査にて著明な腸管拡張を認め,原因不明の腹膜炎に伴う麻痺性イレウスの診断で,CMZによる抗菌薬加療を開始した。治療開始翌日に血液培養よりA群溶連菌が検出され,劇症型A群溶連菌感染症に準じたABPC/CLDM大量投与による治療へと変更した。以降症状は軽快し,治療開始14日目に退院となった。治療開始前の腟分泌物培養検査からもA群溶連菌が検出され,腟からの上行性感染が原因と考えられた。産褥に原因不明の汎発性腹膜炎を認めた場合,上行性感染によるA群溶連菌感染症を念頭におく必要があり,腟分泌物培養の積極的評価を含めた迅速な対応が重要であることを再認識した。
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