今月の臨床 周産期の感染症―管理と対策
母体感染の管理と対策
4.A群溶連菌感染の対策
竹林 浩一
pp.26-29
発行日 2004年1月10日
Published Date 2004/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100490
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はじめに
A群溶連菌(公式にはA群レンサ球菌 : Group A Streptococcus : 以下,GAS)によって引き起こされる疾患は子供に多い軽度の咽頭炎から猩紅熱,さらに大人に多い致死的な多臓器不全まで非常に幅広い.特に1980年代前半に欧米を中心にGASにより急速にショック,多臓器不全に至った症例が次々に報告され,迅速な抗生物質の使用,広範なデブリドマンの施行にもかかわらず,30~80%に及ぶ高い死亡率を示したことから,米国疾患予防センター(CDC)では1993年これらの重篤な疾患をstreptococcal toxic shock syndrome(STSS)またはtoxic shock―like syndrome(TSLS)として独立した疾患群とした.さらに1994年5月,英国のマスコミによって「ヒト喰いバクテリア」として報道されてからはその重篤な病態が世界中に再認識され,社会問題となった.これを契機として,わが国でも厚生省研究班による調査がなされ,劇症型GAS感染症の診断基準(1998年修正案)が作成された(表1).
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