原著
帝王切開に術前浣腸は必要か
-—有用性を評価した前方視的研究—
中村 友紀
1
,
皆川 万里絵
1
,
富塚 満津枝
1
,
手塚 尚広
1
Y. Nakamura
1
,
M. Minagawa
1
,
M. Tomizuka
1
,
N. Tezuka
1
1公立置賜総合病院産婦人科
pp.1385-1391
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001068
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帝王切開の術前浣腸は慣例的に施行されてきた。今回,その有用性を調査した。対象は浣腸群44名と非浣腸群40名で,その背景に有意差はない。主要評価項目のうち初回腸音聴取は手術当日,浣腸群が有意に高率だったが,術後1日には全例に聴取された。排ガスは中央値が両群とも術後1日で,有意差はなかった。排便は術後1日からみられ,非浣腸群が有意に早かった。副次評価項目のうち手術部位感染,腸閉塞などは観察されず,新生児所見,手術時間,術中出血量,嘔気,嘔吐などに有意差はなかった。以上の結果から,浣腸の省略で腸音の聴取は遅れたが生理的範囲内であり,排ガスの時期に影響はなく,かえって排便が早まること,新生児や帝王切開に悪影響はなく,術後合併症も増えないことがわかった。浣腸の施行に利点を見出せず,省略にこそ利点を認めた。帝王切開の術前浣腸は有用性に乏しく,その必要性は否定的である。
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