特集 難治性婦人科悪性腫瘍の臨床最前線
企画者のことば
渡部 洋
1
Y. Watanabe
1
1東北医科薬科大学産婦人科
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000482
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近年の婦人科悪性腫瘍に対する診断ならびに治療は,基礎・臨床の両面において刮目に値する進歩を遂げており,腫瘍の分子生物学的特性に基づく新たな治療戦略が打ち出されてきている。しかし,日常診療においては依然として臨床対応に苦渋する婦人科悪性腫瘍が数多く経験され,婦人科腫瘍医を悩ませている。その原因として,腫瘍の生物学的悪性度あるいは治療抵抗性に起因する予後改善の困難さ,治療適用による患者quality of lifeの低下,さらには科学的に検証された標準的治療法が確立されていない稀少腫瘍であることなどが挙げられるが,根本的な解決策はいまだ見出されてはいない。そこで本号では「難治性婦人科悪性腫瘍の臨床最前線」と題して,初回手術から術後治療,あるいは再発治療のいずれにも苦慮される代表的な婦人科悪性腫瘍12疾患を取り上げ,施設における治療の工夫や治療実績および国内外の臨床研究成績を含めた臨床対応の現況と進歩および今後の展望について解説をいただく特集を企画した。疾患の特徴から,多数例によって検証された高グレードのエビデンスを有さない治療法,あるいは現時点では保険適用が認められていない治療法に関する解説も含まれてくるものと思われるが,難治性婦人科悪性腫瘍に対峙する臨床医の将来的展望の一端としてお許しをいただきたい。本特集号が臨床の最前線で活躍する産婦人科医の診療および知識刷新の一助になれば幸いである。
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