特集 卵巣癌の手術up to date
3.進行例に対する後腹膜リンパ節郭清(LION)の意義とこれから
竹原 和宏
1
K. Takehara
1
1四国がんセンター婦人科
pp.479-484
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000425
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進行卵巣癌の予後改善には最大限の腫瘍減量手術が重要である。これまでの後方視的検討では,腫瘍減量手術として系統的な後腹膜リンパ節郭清は進行例の予後を改善する可能性が示唆されてきたが,臨床的にリンパ節転移が明らかでない場合のリンパ節郭清の役割は前方視的に証明されていない。この状況下,2017年のアメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)で発表されたLION試験では術前にリンパ節転移が指摘されない進行卵巣癌症例の56%にリンパ節転移が確認されたにもかかわらず,リンパ節郭清の有無で予後が改善されない結果であった。この結果を受け,病変の可及的な完全切除をゴールとして,骨盤および傍大動脈リンパ節郭清は省略される方向へ向かう可能性がある。
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