交見室
後腹膜リンパ節郭清の適否,他
勝岡 洋治
1
1東海大学泌尿器科
pp.802-803
発行日 1993年9月20日
Published Date 1993/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901041
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精巣腫瘍は,固形癌のうちで最も治療しやすい腫瘍であるといわれている。これは化学療法,放射線療法に対する感受性に優れ,治療効果が高いことや,転移経路が明らかにされ,後腹膜リンパ節など治療すべき対象が捕捉されやすいためで,さらには信頼に足りる腫瘍マーカーがあり,治療効果の測定,治療後の経過観察に役立っていることも見逃せない。とくに化学療法の発達により,広範な転移病巣をもつ患者まで治癒が見込まれる状況となり,化学療法の成否が生死を分けることとなり,これに当たる医師の役割は重大である(泌尿器悪性腫瘍管理マニュアルより引用)。以上の記述は精巣腫瘍の管理について衆目の一致した見解であろう。
ところで非セミノーマstageⅡついては PVB(P)療法をはじめとした強力な化学療法を第一選択として,腫瘍が残存したら後腹膜リンパ節郭清を行うことで治癒率は高いといわれる。一方,化学療法だけで治癒する可能性があり,後腹膜リンパ節郭清は必ずしも必要がないとする諸家の報告もみられる。
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