症例
Wunderlich症候群の妊娠例
-―腟閉鎖側子宮に妊娠し,胎胞膨隆をきたすも腟中隔により妊娠継続が図れた1例―
太田 好穂
1
,
佐藤 あずさ
1
,
加茂 亜希
1
,
河村 隆一
1
,
西口 富三
1
Y. Ota
1
,
A. Sato
1
,
A. Kamo
1
,
T. Kawamura
1
,
T. Nishiguchi
1
1静岡県立こども病院周産期センター産科
pp.455-460
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000411
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Wunderlich症候群は,重複子宮に片側腟閉鎖,そして閉鎖側の腎無形成を伴う稀な性器奇形である。今回われわれは,腟閉鎖側子宮に妊娠し,経過中に子宮頸管無力症による胎胞膨隆をきたすも腟中隔の存在により妊娠の延長を得た症例を経験した。症例は33歳,初産婦。前医で双頸双角子宮,子宮筋腫,両側内膜症性卵巣囊胞,右腎無形成が指摘されていたが,本疾患の診断には至っていなかった。排卵誘発法により妊娠成立。妊娠20週6日,経腟超音波所見での頸管短縮の診断のもと,当院に母体搬送された。不完全閉鎖型腟中隔を伴う閉鎖側子宮への妊娠で,胎胞は腟中隔により塞き止められている状況であった。妊娠25週5日,胎胞内への臍帯下垂,胎児成分の陥入をきたしたため分娩進行と判断し,緊急帝王切開術を施行,併せて腟中隔切除術を施行した。児は889gの男児(Apgar スコア 8/9)で軽度のdry lung syndromeを伴っていた。本症例は,子宮内膜症を有するも,中隔の小孔を介して腟閉鎖側子宮に妊娠が成立し,そして頸管無力症を併発するも腟中隔の存在により妊娠の延長が得られた極めて稀なケースである。
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