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生殖領域 GQ-39 着床前遺伝子診断の臨床的問題点と展望―遺伝的保因者および非保因者へのスクリーニングの課題
末岡 浩
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室(准教授)
pp.1627-1634
発行日 2017年10月31日
Published Date 2017/10/31
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000204
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PGD に用いられる技術は,生殖補助医療技術と遺伝子診断技術に大別され,排卵誘発,顕微授精,胚生検,胚凍結を含む先進的技術のすべてを用いる。遺伝子増幅法としてnestedPCR 法と全ゲノム増幅法が担う。遺伝子増幅の際に生じるリスクも一定の確率で生じる可能性がある。遺伝子解析の方法として,遺伝子型に応じて対応する各解析法に加え新たな技術としてマイクロアレイ法の導入がなされ,着床前遺伝子スクリーニングへの応用が急速に脚光を浴びるようになった。社会倫理的な課題は,生命の新たな選択につながる可能性を危惧する考え方などから,対象疾患は重篤な遺伝性疾患に限られていることである。クライエントの要望があれば,いかなる事例に対しても対象とすべきであるかについては議論がある。PGD およびPGS は,なお,安全性やその意義などの検証を必要とするため臨床研究として取り扱われ,各倫理指針,ガイドライン,個人情報保護法のもとに行われることが必要である。クライエントへの支援として,難病対策に対する政策的な対応も次第に向上しているが,PGD に対する社会の支援や仕組みが構築されているとはいえないのが課題である。
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