特集 将来に備えて胎児環境を整える─ DOHaD を学ぼう─
DOHaDの臨床(妊娠前):妊娠成立前プログラミング
佐川 典正
1
1洛和会音羽病院総合女性医学健康センター
pp.973-977
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000085
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胎児期の環境と成長後の疾患発症に関して多くの疫学研究が行われ,今日ではあらゆる非感染性疾患(NCD)の発症リスクが胎児期〜小児期の栄養やストレスなど環境と密接に関連していると考えられている。これまでの医療は,NCD発症後の治療を対象とする「治す医療(curativemedicine)」であった。しかし,近年のDOHaD研究から,妊娠前からの生活環境,妊娠中の栄養やストレス,生まれてから新生児期の栄養など,様々なタイミングでNCDの発症を予防するために介入する医療(先制医療preemptive medicine)という概念が提唱されてきた。なかでも,妊娠成立前は雌雄両者の配偶子形成に際してエピジェネティックな機序を介してNCD感受性がプログラムされるので特に重要である。
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