特集 将来に備えて胎児環境を整える─ DOHaD を学ぼう─
序論:DOHaDの概念
福岡 秀興
1
1早稲田大学ナノライフ創新機構規範科学研究所
pp.943-949
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000081
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少産少死,人口減少の進む日本では低出生体重児の割合が高値を持続している。昭和20 年代後半と比較しても高く,母体栄養環境の劣悪化が危惧され,次世代の健康リスクが強く危惧される。生活習慣含めた成人病が増加しており,その疾病素因は胎生期,乳幼児期に形成される。その疾病発症について新たな概念としてDOHaD説が注目されている。歴史上有名な飢餓事件のコホート研究から妊娠各時期の低栄養曝露による発症疾病像が想定されるが,妊娠初期が強く影響し,エピジェネティックスがこの時期に大きく変化して疾病素因を形成している。それゆえpericonceptionとしての妊娠前の栄養の重要性が高い。同時に妊娠初期・中期・末期,さらに乳幼児期の環境の意義が大きい。
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