シリーズで学ぶ最新知識
産婦人科に直面する感染症の最新知識 1.HIV 感染症
味澤 篤
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1公益財団法人東京都保健医療公社豊島病院感染症内科
pp.905-908
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000066
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HIV感染症は,抗HIV療法(ART)の進歩により,感染者個人のウイルス制御が可能になった。その結果,予後の改善がみられ慢性疾患となったが,新たに悪性腫瘍,慢性腎臓病,心血管疾患などの長期合併症が問題となっている。また一方,ウイルス制御によりパートナーへの感染予防が可能となった。さらにART により多くの感染者のウイルス制御が可能になることで,地域の新規HIV 感染が減少することが明らかになった。UNAIDSは2014 年にHIV予防のカスケード戦略『90-90-90』を作成,これは「2020 年までにHIV感染者の90%を診断し,そのなかの90%に抗HIV療法を行い,さらにその90%がウイルス的に制御される,つまり全HIV感染者の約73%がウイルス制御されると2030 年にはHIV感染症の流行が終息する」というもので,HIV 感染の流行終息も目標とすることができるようになった。
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