綜説
食物蛋白誘発胃腸症(FPIES)の臨床的知見と診療実践への応用
-――最近の動向と診断基準の限界をふまえて
清木 香里
1
,
林 大輔
1
1筑波メディカルセンター病院・小児科
pp.1157-1162
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003630
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食物蛋白誘発胃腸症(FPIES)は,非IgE依存性の食物アレルギーであり,主に乳幼児に嘔吐・下痢・活動性低下を呈する.国内では近年症例が増加し,とくに卵黄や小麦,大豆,乳による報告が多い.原因食物や文化により発症傾向が異なり,発症年齢にも差がみられる.国際診断基準は診断の標準化に寄与したが全FPIES症例を網羅できず,とくに成人例や非典型例では柔軟な対応が求められる.治療は原因食物の除去と急性期の支持療法であり,耐性獲得確認には経口負荷試験が必須である.多くは自然寛解するが,食物や発症年齢により経過は多様であり,長期的観察と管理が重要である.

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