特集 あらためて見直すDown症候群――適切な管理とサポートで よりよい成人期につなげる
よくある合併症・念頭におくべき合併症とその管理・予防
5.血液・造血器
長谷川 大輔
1
1聖路加国際病院小児科
pp.889-895
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003569
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Down症候群(DS)でみられる多彩な症状のうち,血液学的には新生児期の一時的な血球数異常から急性白血病まで幅広い合併症が生じ得る.なかでも一過性骨髄異常増殖症(TAM)と急性骨髄性白血病(ML-DS)は造血に関連する転写因子であるGATA1の異常に起因し,時間的に連続することから,両者を合わせて「DS関連骨髄増殖症」と総称されている.TAMの多くは自然寛解するが,10~20%は生後数か月以内に致死的経過をたどる.寛解後に残存した微小クローンが付加的遺伝子異常を獲得することでML-DSに進展する.ML-DSは低強度化学療法で良好な治療成績が得られるが,再発例の予後は著しく不良である.

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