増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
IV 血液像
各論
2 異常血液像(造血器腫瘍を除く)
異常血液像(造血器腫瘍を除く)
土屋 逹行
1
1日本大学医学部病態病理学系臨床検査医学分野
pp.1091-1100
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102589
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はじめに
一般的に形態学は一目でわかるといわれることが多い.言い換えれば,血液形態検査に十分な経験のある医師,臨床検査技師が形態の変化を認めることで,診断が可能になったり,その他多くの有用な所見がすぐに得られると考えられている.しかし,形態検査は主観が入り込む余地が多く,再現性が悪い検査の一つでもある.すなわち,経験が乏しいために所見を見逃したり,あるいはあまりに経験が豊富なあまり読み過ぎたりする傾向がある.また,形態の変化を観察者から診療の現場に報告されるときに適切な用語を用いないために生じる誤解も発生し,その結果,誤診に結びつくときがある.
本稿では末梢血塗抹標本で出現頻度の比較的高い形態異常を図で示すとともに,血球形態の異常のとらえ方,考え方,そして誤解のない報告の仕方を述べる.現在,血球形態検査の標準化については日本検査血液学会で標準化作業が行われ,その成果が日本検査血液学会のホームページ(http://www.jslh.com/)で公開されている.ぜひ実際の血液像の観察を行うときに参考にして,わが国全体の血球形態の認識,報告の標準化をしていただきたいと考えている.
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